前回の記事では、
認知症の兆候に早く気づくためのひとつの視点として、
「嗅覚」に目を向けるというお話を書きました。
【前の記事】
認知症の兆候に、もう少し早く気づくためにできること
https://familyhealthmgr.info/ninntisyou-tyoukou/
今回はその続きです。
香りが脳にダイレクトにつながる感覚であることは、
今では広く知られるようになりました。
そのため、認知症ケアの一環として
香りを取り入れる施設も増えてきています。
それ自体は、とても自然な流れだと思います。
けれど、ここでひとつだけ大切にしたいことがあります。
それは、
「とにかく焚けばいい」というものではない
ということです。
目次
香り=癒し、だけではないということ

日本で一般的に広がっているアロマの使い方は、
「癒し」「リラックス」「ストレスケア」といった、
心へのアプローチが中心になっている印象があります。
もちろん、それも大切な働きです。
一方で、嗅覚反応分析のもとになっている考え方では、
香りの機能性、つまり体への働きにも目を向けます。
ただし、それを「治す」「改善する」
といった表現で語るものではありません。
薬機法や医療との線引きもありますし、
何より私自身がそういう言い方を
したいわけではないのです。
大切にしているのは、
その人のバランスがどちらに
傾いているのかを見ること。
そして、その傾きに対して、
どんな働きを持つ香りを選ぶと
自然なのかを考えること。
言い換えると、
薬理作用を“押し出す”のではなく、
バランスの崩れ方から
“逆読み”するような使い方です。
なぜ「焚くだけ」では足りないのか

今回テーマにしているのは、
認知症という神経系に関わる領域です。
嗅覚は、脳へ直接情報が届く感覚です。
神経系・免疫系・ホルモン系といった、
脳の指令と深く関わる部分へのアプローチとして、
「嗅ぐ」という方法はとても理にかなっています。
(打撲の痛みを匂いで消すことはできませんよね。
筋肉や消化器など、別の系統にはまた違うアプローチがあります。)
だからこそ今回は、「嗅ぐ」でよい。
むしろ施設での安全性を考えると
現実的な方法でもあります。
けれど。
香りの機能性を考えるなら、
時間帯という視点は外せません。
例えば、
-
交感神経系に働きかける香りなら、体が活動へ向かう午前中
-
休息や回復を後押しする働きを期待するなら、夕方以降
体にはサーカディアンリズム(概日リズム)
というものがあり、
その流れに沿うほうが、自然です。
他の時間帯に使ってはいけない
という話ではありません。
ただ、より効率的に、
より穏やかに働いてもらうなら、
体のリズムに合わせるほうが
理にかなっている、ということです。
ここが、
「ただ焚く」のではなく
“考えて使う”という違いです。
施設で現実的に取り入れるなら

もし施設全体で活用するとしたら。
例えば、食事の時間帯に、
複数の方向性を持つ香りを
ブレンドして空間に取り入れる。
人の体は、自分に必要な成分を選択的に
受け取る性質を持っているといわれています。
さまざまな偏りのある方がいる場面では、
一方向ではなく、幅を持たせるという考え方もあります。
これは、
施設全体の認知症予防的アプローチとして
取り入れるという発想です。
そして、より個別性が必要な場合には、
嗅覚の反応から現在のバランス傾向を確認する
「IMチェック(嗅覚反応分析による心身のバランス確認)」を行い、
スプレーなどで個別対応をする。
つまり、
個別対応と全体ケアの両立です。
こうした重なりの中で、
結果として認知機能の変化がゆるやかになる可能性、
つまり進行をゆるやかにする可能性も、
視野に入ってくるのではないかと感じています。
それでも、アロマだけが答えではない

ここで誤解してほしくないのは、
「アロマを使わなければいけない」
という話ではないということです。
状態を確認し、
今どんな傾きがあるのかを知ること。
それができれば、
対応の方法は他にもたくさんあります。
ただ、
香りは変化が見えやすく、
実感しやすいツールのひとつではあります。
だからこそ、
使うなら、
ただ焚くのではなく、
少しだけ視点を加えてみる。
それだけで、
同じ空間でも、意味は変わってくるかもしれません。
認知症ケアにおいて、
「何をするか」も大切ですが、
「どう使うか」
「いつ使うか」
「誰に、どのように届けるか」
そこに視点が向いたとき、
ケアの質はもう一段深まるのではないか
と感じています。
香りは、そのきっかけのひとつ。
もし、施設での取り入れ方や
IMチェックの具体的な方法について
もう少し整理してみたいと思われたら、
無料相談の場で一緒に考えることもできます。
整っている施設だからこそ、
ほんの少しの視点が、
大きな違いになることもある。
そんな可能性を共有できたらうれしいです。
※※※※※※※※
今日の情報が、
読んでくださっている方の
現場のヒントになっていれば嬉しいです。
それではまた、
このブログでお会いできたら嬉しいです。
八木 佳織
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【関連記事】
介護現場で「体の反応」をどう捉えるか
― 嗅覚反応分析という、もう一つの見方 ―
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